起業しよう その準備から開業まで・・・
松澤会計事務所では、これから起業される方を税務からサポートいたします。
このページでは、貴方が独立に向けて、「どれだけ準備が進んでいるか」を判定する判定シートから、実際に始める前に必要な手続き及び届出、一般的な資金調達の仕方、会社の設立、開業後の内部管理に分けてご紹介します。
実際に起業する前に、是非ご一読ください!
序章
「ベンチャービジネスで独立開業」がもてはやされている今、「さあ私も!」、と考えておられる方も大勢いらっしゃるのではないでしょうか。
お金も、ある程度貯まったし、後は独立するだけ! と思っている貴方、ちょっと待ってください。本当に準備は万全ですか?
1.判定シート
2.各種届出 3.資金調達
4.会社設立 5.内部管理
1.判定シート
このページでは、貴方が起業のために必要な要素を何処まで備えているか、起業のための準備がどれだけ出来ているのかを判定します。
以下の項目につき○印、×印を付けて考えてみてください。
判定項目 | ワンポイント | 判定 |
現在勤務の方、円満に退職できますか? | 周囲の理解は得られていますか?貴方の家族を始めとした、周囲の方の同意は得られていますか? やはり、最後に頼れるのは身近な方達です。理解を得られるように、起業に関して、しっかり説明をしておきましょう。 | |
礼節は身についていますか? | 今までは勤務先の看板で、ある程度判断されていたものが、これからは貴方個人だけが取引先の判断材料になります。 相手に対して好印象を与える第一歩は、何と言っても自然と出てくる礼節。起業を機にもう一度おさらいしてみましょう。 | |
プラス思考ですか? | ビジネスは初めから終わりまで順風満帆には、なかなか行かないものです。苦しい時、失敗をした時、取引が断られた時、プラス思考を持っていないとなかなか立ち直れず、そこであえなくビジネス自体がおしまいになってしまいます。 | |
孤独に耐えられますか? | はじめは一人で起業するという方も多いでしょう。それでなくても、経営者は他の人には言えない悩みを持ったりして、孤独に陥ることがあるものです。 貴方は、これに耐えられますか?悩みを聞いてくれるような信頼出来る人が周りに居ますか? | |
決断力がありますか? | 自分でビジネスを起す、すなわち自分が主体となった判断が求められるようになると言うことです。正確な情報を仕入れて、的確な決断をすばやく下せる自信が貴方にはありますか?ビジネスチャンスを逸しないように! | |
リフレッシュの方法を持っていますか? | たまには息抜きも必要です。休憩時間のリフレッシュから休日のリフレッシュまで、気持ちを新たに切り替える術を持ちましょう。 | |
健康状態に自信はありますか? | 最大にして不可欠な資本は貴方の健康です。健康状態は良好ですか?また、健康状態を保つための方法を会得しておきましょう。 | |
資金計画は持っていますか? | 開業資金はどのくらい必要ですか?その金額は具体的に算出したものですか?それを開業後どのようにまわしていきますか?最初の2・3ヶ月でショートしてしまうことはありませんか? 具体的な数値を盛り込んで簡単な資金計画表を作成してみましょう。 | |
決算書を作れますか?読めますか? | ビジネスはボランティアではありません。儲からなければ意味が無い。儲かっているかどうかは決算書をはじめとした帳簿類で判断していきます。これを作成できる環境を整えておきましょう。 また、決算書などから経営状況を判断し決断するのは貴方自身です。簡単な決算書の読み方を身につけておきましょう。 | |
ビジネスのアイデアは具体的かつ詳細ですか? | あんなことやりたいと、ぼんやりとしたアイデアだけで起業しても、実際にどのような手を打っていけば良いのか分からずに終わってしまいます。 こんなことしたい、そのためにはこれを揃えなきゃ、あれを使わなきゃ、あそこに行かなきゃ、こうしてお客さんをつかもう、こうやって販売しよう等、具体的かつ詳細なビジョンを描いておきましょう。 | |
人脈は確かなものを持っていますか? | 新しいビジネスでは、これが大切。ある時はお客さんに、ある時は宣伝マンに、ある時はアドバイサーに、ある時は資金の提供者に、ある時は気晴らしの相手に、ある時はビジネスパートナーになってくれる有益な人脈を作っておきましょう。 ただし、口では上手いことを言っても実際に動いてくれるのは一握りというくらいの気持ちを持っておくことも大切です。 | |
5年後10年後の自分を想像できますか? | こうなりたい、ああなりたい、という気持ちを持っていれば、自然とそれに近づくように努力をするものです。起業したら5年後、10年後はこうなるだろう、ああなっていたいというビジョンを持っていることも必要です。 | |
自分に欠けている能力を自覚していますか? | パーフェクトの人間はいません。ですから、あらゆる事を誰よりも上手くこなす必要はないのです。自分に欠けている能力は、他で補なうことにしましょう。外注に出す、人を雇う、自分で勉強をするという方法がありますね。 しかし、それが出来るのも自分に欠けている能力を自覚できるから。今のうちに認識をしておいて、打てる手は打っておきましょう。 |
2.各種届出
このページでは個人事業を始める際に必要な届け出を一覧表にしています。個人事業がいいのか、会社形態がいいのかの判断は次の会社設立のページをご覧ください。
こちらは、個人事業を行う全ての人が届出をしなければならないものです。
必要となるケース | 必要な届け出 | 提出する場所 | 提出期限 |
---|---|---|---|
全ての場合 | 個人事業の開業届出書 | 所轄の税務署 | 開業の日から1ヶ月以内 |
全ての場合 | 個人事業開始申告書 | 事業所所在地の都道府県税事務所 | 開業後速やかに |
全ての場合 | 会計処理方法の選択のための各種届出書 | 所轄の税務署 | 開業の年分の確定申告期限まで |
青色申告者になりたい人 | 所得税の青色申告承認申請書 | 所轄の税務署 | 開業の日から2ヶ月以内 |
従業員に給与を払う人 | 給与支払事務所等の開設届出書 | 所轄の税務署 | 給与の支払いを始めて1ヶ月以内 |
納期の特例を受ける人 | 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 所轄の税務署 | 随時 |
従業員を雇う人 | 健康保険・厚生年金保険 | 被保険者資格取得届 | 社会保険事務所 |
従業員を雇う人 | 雇用保険被保険者 | 資格取得届 | 職業安定所 |
上記の注意事項として「所轄税務署」は、住民票がある地域の税務署か事業所を置く地域の税務署を選択する事になります。「個人事業の開業届出書」と「会計処理方法の選択のための各種届出書」は税務署にセットになっておいている場合があります。「会計処理方法選択のための各種届出書」には「棚卸資産の評価方法届出書」「減価償却資産の償却方法届出書」があります。
↓該当者だけが行う届出(主な業種)になります。
業種 | 許認可の種類 | 申請・届出先 | 提出先 |
---|---|---|---|
飲食店営業 | 許可 | 都道府県知事 | 保健所 |
喫茶店業務 | 許可 | 都道府県知事 | 保健所 |
菓子製造業 | 許可 | 都道府県知事 | 保健所 |
食肉販売業 | 許可 | 都道府県知事 | 保健所 |
魚介類販売業 | 許可 | 都道府県知事 | 保健所 |
警備業 | 認定 | 公安委員会 | 警察署 |
理容院・美容院 | 届出 | 都道府県知事 | 保健所 |
クリーニング業 | 届出 | 都道府県知事 | 保健所 |
一般旅行取扱業及び旅行代理店 | 登録 | 国土交通大臣 | 運輸局 |
旅館業 (民宿、ペンション、キャンプ場等) | 許可 | 都道府県知事 | 保健所 |
路外駐車場 (不特定多数者を対象としたもの) | 届出 | 都道府県知事 | 都道府県庁 |
人材派遣業 | 許可 | 厚生労働大臣 | 公共職業安定所 |
酒類販売業 (小売業、卸売業、輸入業、輸出業) | 免許 | 税務署長 | 税務署 |
建設業 (土木工事等) | 許可 | 国土交通大臣 または 都道府県知事 | 都道府県庁 |
宅地建物取引業 | 免許 | 国土交通大臣 または 都道府県知事 | 都道府県庁 |
風俗営業 | 許可 | 公安委員会 | 警察署 |
さて、届出を忘れて事業をスタートさせると、事業を中止しなければならない事態になるおそれがあります。必要な届出は忘れずに行うようにしましょう。
3.資金調達
資金が豊富な方は、このページは関係のない事でしょう。しかし、運転資金がほしい、設備投資のために資金を調達したい等、事業を続けて行けばさまざまな資金需要が出てくるのが普通です。その時に、いかなる方法で調達したら良いのでしょうか?このページでは、事業者にとって心強い資金調達先を紹介します。
国民金融公庫 | 国民金融公庫は、民間の金融機関から融資を受ける事が難しい中小の事業者のために融資を行う政府系の金融機関です。金融業や一部の遊興業を除いてほとんど全ての業種が融資の対象となるほか、営業年数などの資格制限が緩く、しかも低金利で無理の無い返済計画を立ててくれます。支店は全国各地にありますので、インターネットや電話帳などで調べてみてください。 |
---|---|
東京商工会議所 | マル経融資という名の中小事業者向けの融資制度があります。その限度額は500万円、さらに別枠でプラス450万円となっています。詳細は、東京商工会議所、東京地区以外の場合は地元の商工会議所にお問い合わせください。 |
都道府県 制度融資 | 都道府県制度融資とは、都道府県、信用保証協会、取扱指定金融機関の三者協調による融資制度です。経営者の人物、資金の用途、返済能力を審査した上で、信用保証協会に公証保証人になってもらい、無担保で融資を受ける制度です。金融機関でお問い合わせください。 |
中小企業 倒産防止救済 | 取引先の倒産などで売掛金が回収できないなどの資金難による連鎖倒産を防ぐために、中小企業事業団が運営するのが中小企業倒産防止共済です。この共済に加入し、毎月共済金(最低5千円)を支払う事によって、取引先の倒産による不良債権が発生した時に、無担保、無保証人、無利子で資金を工面してくれます。 |
融資先というとまず最初に銀行を思い浮かべるでしょう。確かに銀行も重要な融資先ですが、取り引き実績を積む、担保を用意する、企業規模を大きくするなどの条件をクリアしなければ、簡単に融資を受ける事は出来ません。そこで、上記の融資制度を有効に活用すると良いでしょう。ただし、上記のものは中小の事業者向けなので、融資してくれる金額はあまり大きくありません。
資金繰りのショートは、事業の破綻につながります。基本は、売掛金を早く回収し、買掛金は遅く支払うという事。ただし、これらも限度がありますし、取引相手との力関係でなかなかうまく行かない事もあるでしょう。ショートをしないように資金繰りには常に目を光らせておく必要があります。必要ならば、資金繰り表を作成してみるのもいいでしょう。
4.会社設立
起業をする場合に、まず思い浮かべるのは「会社を作ろう!」という事ではないでしょうか。では、 そもそも会社とは、個人事業に比べてどのような利点があるのでしょうか。又、会社形態にはどのようなものがあるのでしょうか? このページでは、まず個人事業と会社形態の違いを明らかにし、その次に会社の種類とそれぞれの特徴を見てから、設立のためには何が必要かをお話していきます。
4-1.個人事業と会社形態との相違
相違点 | 個人事業 | 会社形態 | 結論 |
---|---|---|---|
資金調達 | 個人資金、又は借入 | 出資を募る事が出来る | 個人起業ならばあまり変わらない |
資金借入 | 個人の信用、あるいは担保の提供、個人保証 | 会社の資本についての信用、担保の提供、個人保証 | 会社が小さい段階ではあまり変わらない |
事業開始 までの費用 | ほとんどかからない | 設立のための登記費用などがかかる | 個人事業の方が安価 |
事業開始 までの期間 | ほとんどかからない | 登記完了まで最低でも1週間程度 | 個人事業の方が機動的 |
取引先の 信用 | 個人の信用 | 個人の信用に加え会社組織に対する信用 | 一般的に会社の方が有利 |
税金面 | 累進税率のため所得が低い段階では有利 | 一定の税率のため所得が高くなると有利 | 規模が大きくなるほど会社が有利 |
決算期 | 年末に決められている | 自由に決められる | 会社の方が融通が利く |
規模の拡大 | 難しいができない事はない | 組織を大きくする事で対応出来る | 会社の方が機動的 |
リスク | すべて個人が被る | 株式会社や合同会社は有限責任というが、 規模が小さい時には個人保証がつくので個人が被る事になる | 規模が小さい時はあまり変わらない |
事業の 継続性 | 個人の引退で終了、譲渡する場合は税金がかかる | 株式会社や合同会社なら、出資を引き継ぐ事によって容易に出来る | 会社の方が容易 |
4-2.会社の種類と、それぞれの特徴
種類 | 出資者 | 最低資本金 | 定款の認証 | 出資者の種類 | 出資分の譲渡 | 役員 | 税金 | 継続性 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
合名 会社 | 2名以上 | 規定なし | 不要 | 無限責任社員 | 全社員の承認 | 出資者 | 法人税 | なし |
合資 会社 | 2名以上 | 規定なし | 不要 | 無限責任社員と 有限責任社員 | 有限責任社員につき 無限責任社員の承認 | 無限責任社員 | 法人税 | なし |
合同 会社 | 1名以上 | 規定なし | 必要 | 有限責任社員 | 全社員の承認 | 取締役1名以上 監査役は任意 | 法人税 | あり |
株式 会社 | 1名以上 | 規定なし※ | 必要 | 有限責任社員 (株主) | 原則として自由 | 取締役3名以上 監査役1名以上 または 取締役1名以上 | 法人税 | あり |
※現在、時限立法にて、一定の要件を充たせば、1円以上で株式会社を設立可となっています。
設立のしやすさからすれば、合名会社・合資会社でしょう。資本金が1万円でも法人としての体裁と税金面でのメリットが得られます。しかし、今まで馴染みの少なかった形態である事から、信用面では今一つの感があります。また、規模が大きくなって外部資本を受け入れて合同会社や株式会社にしたい!という事になっても、組織変更は出来ません。株式会社にする場合は、別法人の株式会社を作って合併させるという手法を取る事になります。
しかし、ビジネスの規模を大きくするつもりはない、個人商店のような形でやりたいという場合には最適であるといえるでしょう。
合同会社は株式会社とほぼ同じ組織を持っていますが、出資者の数を制限されているなど拡張性という面では株式会社に劣ります。まずは会社を作って、いずれ大きな展開をしていこうという夢を持っているのなら、合同会社で始めるのがいいでしょう。
設立当初から大きな商売を手がけたいというのであれば、最初から株式会社を設立しましょう。2年に一度は役員変更登記が必要になる事や、取締役会の開催が義務づけられている事や、監査役の設置が必要な事など、面倒なところはありますが、増資によって外部資本を導入する事が出来ます。
4-3.合名会社・合資会社を作ってみよう
手続き | 要旨 |
---|---|
定款の作成 | 商号(合資会社・合名会社の名前を入れる、類似商号の調査もやっておくと良い)、会社の目的、本店の所在地、営業年度、社員(出資者)の名前と住所、各社員の出資額、(合資会社の場合には有限責任社員・無限責任社員の別も)等を記載する。 合資会社・合名会社の場合は定款の認証は必要ない。 |
総社員の同意を 証明する書面の作成 | 社員のうち一人を代表社員にする旨を記載し、社員全員が同意した旨と、証拠の印鑑をとったもの。 |
出資金領収書を作成し 控えを取る | これは合資会社の場合に必要になる。有限責任社員からの出資を受けた時に、その金額を出資金として領収した旨を記載し、代表社員が発行する。 |
登記をする | 上記の書類と、設立登記申請書、登記印紙納付用台紙、登記用紙と同一の用紙、代表社員の印鑑紙、社員全員の印鑑証明をもって、登記を行う。 |
税務署 都道府県税事務所 市町村役場 社会保険事務所 への届出 | 設立に関する届出を行う。各事務所で設立に関する書類をセットでもらえるので、これに記入をして提出する。この時、全事務所において登記簿謄本が、さらに税務署では定款が必要になる。 |
4-4.合同会社・株式会社を作ってみよう
手続き | 要旨 |
---|---|
定款の作成 | 商号(合同会社・株式会社の名前を入れる、類似商号の調査も必要)、会社の目的、本店の所在地、資本の総額、出資一口の金額、社員(出資者、株式会社の場合は発起人)の名前と住所、各社員の出資口数(株式会社の場合は発起人の出資株数)、営業年度、社員総会の開催時期などを記載する。 公証人役場において認証を受ける。 |
出資金の払い込み | 出資金を払い込む金融機関を決定し、出資払込事務取扱委託書を作成・提出する。この時に定款の写しと代表者の印鑑証明が必要となる。出資金を払い込んだ後、出資払込金保管証明を発行してもらう。 |
登記をする | 上記の書類と、設立登記申請書、登記印紙納付用台紙、登記用紙と同一の用紙、代表者の印鑑紙、取締役の印鑑証明書をもって、登記を行う。 |
税務署 都道府県税事務所 社会保険事務所 への届出 | 設立に関する届出を行う。各事務所で設立に関する書類をセットでもらえるので、これに記入をして提出する。この時、全事務所において登記簿謄本が、さらに税務署では定款が必要になる。 |
5.内部管理
事業が動き出したのはいいけれど、
「入金出金はどうやって管理しよう」
「帳簿はどうやって付けよう」
「従業員を雇うにはどんな事に気を配ればいいのだろう」
「税金はどうやって払うのだろう」
「登記はほったらかしでいいのだろうか・・・・?」
事業は営業活動が何よりも大切、しかし内部管理を怠ると事業の存続が危うくなる事態になってしまう事もあります。張り切って営業活動が出来るように、しっかりとした内部管理をしましょう。
5-1.入出金を管理しよう
仕事が始まればどうしても起きてくるのが入金と出金。これらをしっかりと管理して、2重請求で取引先ともめないように、2重支払で損しないように、そして資金繰りでショートしないように気を付けましょう。
そのためには、銀行を有効に使う事。事業のための資金はまとまった額を銀行預金に入れておく。入金は出来るだけ銀行口座に振り込んでもらい、現金で受け取りをした時には、とりあえず銀行口座に預け入れる。手元の現金は出来るだけ定額で持つようにする。出金したら必ず領収書をもらい現金と一緒に保管しておく。とりあえずはこれだけしてください。
これでどんな事が出来るようになるでしょうか。
①預金通帳に大まかな現金の出入りが記帳される
②入金は通帳で確認できる
③手元の現金と領収書を合計すれば定額になるので出金管理と現金管理が出来る
④資金残高は通帳で確認できる
さあ、これで資金ショートの回避と入出金の簡単な管理が出来るようになりました。
注意事項として以下の事を付け加えておきます。
まず、銀行の預金口座、普通口座になってしまうという事。従来より利用してきた銀行をメインバンクにして個人事業の資金管理をしようという場合には、その銀行との取り引き実績があるため当座預金の開設も出来るかもしれません。しかし、新規に取引を始める銀行だったり、会社形式で事業を始める場合には取り引き実績が全く無いわけですから当座預金口座を作る事は難しいでしょう。普通預金口座では小切手や手形の利用は出来ませんが、使いなれているという事と、気軽に記帳が出来るというメリットがあります。
また、下手に小切手や手形を用いると不渡りを出す危険性もあります。不渡りを出すと信用を失墜してしまうばかりか、不渡りを2度出したら銀行取引停止になってしまい、事業が立ち行かなくなるおそれも出てきます。資金管理に自信が無い時は普通預金口座で始めましょう。
次に、事業用の口座を引き落とし先にしたクレジットカードなどをむやみに作らない事。資金管理にある程度の自信がついてきたらクレジットカードの利用もいいでしょうが、資金繰りの感じをつかむまではやたらに法人カードなどを作らない方がいいでしょう。引き落としは忘れた頃にやってきます。入金をしたら領収書を発行しましょう。領収書の発行控えは領収済みのハッキリとした証拠になりますし、取り引きの相手方にとっても支払いの証拠が残るので、お互いのためにいいでしょう。
5-2.帳簿を付けよう
簿記の勉強をした事がありますか?会計ソフトがあれば大丈夫!と思っている人は居ませんか?どんなによく出来た会計ソフトも最低限の簿記の知識、すなわち仕訳を知らなければお話になりません。簿記の”簿”の字も知らないという人は、簡単な簿記の本を買ってきて、まずは仕訳の仕組みだけでも分かるようにしておきたいものです。その上で、現金出納帳のような簡単な帳簿を付けてみましょう。もう事業を始めてしまったという人は、仕訳が分かるまでお小遣い帳程度のものは付けておくようにしましょう。
仕訳が分かったら、手書きの帳簿を付けるなり、会計ソフトを用いるなり、それぞれのやり方で帳簿を付けましょう。最低限必要なのは仕訳帳(又は伝票)、総勘定元帳です。営業期末(会計期末)には決算をしなければなりません。決算整理仕訳をして決算書を作りましょう。これが出来なければ次のステップである税務申告が出来なくなります。
5-3.税務申告しよう
全ての事業者は儲かったか否かに関わらず税務申告をしなければなりません。サラリーマンは会社が全てをやってくれますから申告などは無縁だったという人も多いでしょう。しかし、事業を起こしたからには、そうは行きません。決算書を基に個人事業の方は所得税の申告書を、会社の方は法人税の申告書を作成しましょう。あわせて、地方税の申告も必要になります。
所得税の申告書は、初めての方でも税務署でもらえる手引きを良く読んでやれば何とか作成できるかもしれませんが、法人税の申告書はなかなか手強いものです。自信が無ければ税理士に依頼するのが無難でしょう。税金に関する作業の代行は税理士しか出来ません。ニセ税理士にはご注意あれ。税理士証票の提示を求めるなどして確認しましょう。
5-4.従業員を採用しよう
仕事も忙しくなってきた、人手がもっとほしい。では従業員を採用しよう!でもちょっと待ってください。従業員を雇い入れるとどのようなコストがかかってくるのか、雇用した時にはどのような手続きが必要なのか、検討済みですか?
従業員を雇い入れた時にかかってくる費用は、給料だけではありません。社会保険料もかかりますし、退職金も積み立てておく必要があります。社会保険には、健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険があります。健康保険・厚生年金は、事業主と従業員の負担割合はほぼ半々、雇用保険はほぼ2:1、労災保険は全額事業主負担です。勤務の経験がある方は、過去の御自分の給与明細を見てください。健康保険料・厚生年金保険料や雇用保険料を差し引かれているでしょう。その金額から事業主がおおむねいくらくらい負担していたのか、あなた一人を雇用するのにどのくらいのコストをかけていたのか予想がつくと思います。この時労災保険の分を少し多めに見積もっておくと良いでしょう。
また、従業員には給料・賞与だけではなく、退職金の支給も考えなければなりません。自社内で積み立てるのもいいですが、中小企業退職金共済事業団というところが中小企業退職金共済という制度を行っているので、これに加盟するのが一番簡単で良いでしょう。掛け金は、最低月額4千円からあります。
以上で、給料・賞与だけでなく、その他のコストが従業員にかかる事がお分かりになったでしょう。真剣に雇用を考えている場合には、それぞれの金額を本などで調べて、きちんとコスト計算してください。
さて、従業員の採用が決まりました。「では、明日からきてください。」だけでいいのでしょうか?採用を決定した場合には、採用通知書や、給与決定通知書を発行するのが通常ですが、その他にも以下の手続きがあります。
まず、社会保険関係で、以前に勤務経験のある人からは雇用保険証、年金手帳を提出してもらいます。これらを添付して、健康保険厚生年金保険の被保険者資格取得届、健康保険の被扶養者届、雇用保険被保険者資格取得届をを社会保険事務所や公共職業安定所に提出します。
税金関係では、以前に勤務経験のある人からは以前の勤務先から源泉徴収票をもらい、給与所得者の扶養控除等申告書を作成してもらい、所得税源泉徴収簿を作成します。このほか、出金簿、賃金台帳、労働者名簿を作成しておきます。これらの書類は社会保険関係の事務所などで提出を求められる事があります。
業種によっては、上記の他にも手続きが必要なケースが沢山あるでしょう。後は頑張ってビジネスを軌道に乗せてください。健闘を祈ります!
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